無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「そうなんですか、朝陽に気付かされて……」
「そうです、その流れで付き合いだしたので言いくるめられたと言うか、説き伏せられたという意味でだったら否定できなくて……」
一緒に歩きながら話していると、陽菜は見るからに安心していたようだった。
「あの、昨日初めて会った人にも洗脳されてないかって聞かれたんですけど、朝陽って何か性格が問題あったりするんですか?」
ほんの少しだけ気になったその質問に陽菜は、そんなことないですっ!と両手を左右に振りながら慌てて口を開いた。
「姉の私が言うのもなんですけど、朝陽は本当にいい子で優しくて頼りになって……ただ、人を思い通りに動かすのが得意だったり、先回りして何かしてたり、逆らえないオーラみたいなのを出したりするから……」
「ああ、それはなんとなく……」
わかる気がします。とはさすがに言えなかったけれど陽菜は言外の言葉を感じ取ったのか苦笑してしまった。
何かあったら相談するためにとお互いの連絡先の交換をして、最寄り駅に着いて電車に乗る陽菜に手を振って見送り踵を返すと目の前にいた人物に驚いた。
そこには例のパン屋の常連の人が不気味なほどの笑顔で立っていたーー
「そうです、その流れで付き合いだしたので言いくるめられたと言うか、説き伏せられたという意味でだったら否定できなくて……」
一緒に歩きながら話していると、陽菜は見るからに安心していたようだった。
「あの、昨日初めて会った人にも洗脳されてないかって聞かれたんですけど、朝陽って何か性格が問題あったりするんですか?」
ほんの少しだけ気になったその質問に陽菜は、そんなことないですっ!と両手を左右に振りながら慌てて口を開いた。
「姉の私が言うのもなんですけど、朝陽は本当にいい子で優しくて頼りになって……ただ、人を思い通りに動かすのが得意だったり、先回りして何かしてたり、逆らえないオーラみたいなのを出したりするから……」
「ああ、それはなんとなく……」
わかる気がします。とはさすがに言えなかったけれど陽菜は言外の言葉を感じ取ったのか苦笑してしまった。
何かあったら相談するためにとお互いの連絡先の交換をして、最寄り駅に着いて電車に乗る陽菜に手を振って見送り踵を返すと目の前にいた人物に驚いた。
そこには例のパン屋の常連の人が不気味なほどの笑顔で立っていたーー