無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
暫く電車に揺られて着いた先はキャンプ場で、手ぶらで出来るバーベキューも予約していたらしく時間もお昼時だったこともあって早速火を起こし始めていた。

「それにしても、昨日突然キャンプ場で一泊二日のダブルデートしようって言われたときはビックリしたわよ」

「だって、真未って前もって言ってても忘れちゃうじゃない」

だからって前日に言わなくても、と真未は思ったけれど口には出さなかった。
真未のバイトの予定は朝陽が把握してるし、この日に他に予定もないことは確認されていた。
恐らく朝陽もグルになってダブルデートを計画したのだろうと目の前で大輔と楽しそうにしている朝陽を見た。

「そういえば、秋村君に聞いたの?」

「何を?」

「前に大学で今野君が言ってたじゃない?
秋村君が進路を変えて同じ大学に行くほど真未のことを好きだったって、真未も気になってたようだから聞いたのかと思ってたけど……」

その様子じゃまだみたいね。と杏子は意外そうにしていた。
確かに気になったことはすぐに聞くのだけれど、家にお呼ばれしたりちょっとした騒動に巻き込まれたりしていて聞くタイミングを逃していた。

「うん、すっかり忘れてた。
ちょっと聞いてくる」

「え!?今から!?」

スッと朝陽達の下に歩きだした真未を見て杏子は驚いたようだったけど、次忘れたらもう聞く機会がないかもしれないので早く聞いておきたかった。
< 138 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop