無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
「真っ赤になってる、可愛いわよねー」

「今までの自分でも気づいてない表情の変化もよかったけど、こっちはこっちでいい感じだよな」

「わかるわかる!あのときの真未も好きだったけどこっちの真未もなかなか……」

「もう、ほんとやめて……」

二人で盛り上がってる中、やっと講師の先生がやってきて杏子が前を向いた。
よかった、やっとこの恥ずかしい話から解放される……!と思っていたら右手になにか温かいものが触れてそっちを見ると朝陽の手が乗っていた。

「朝陽?」

小声で話しかけると朝陽はニッと笑って真未の手に乗せていた手を動かし出した。
もぞもぞと動いたその手は真未の指の間にスルッと滑り込み、所謂恋人繋ぎの状態になった。

う、わ……っ!

ただ指を絡めて繋いだだけなのにそれだけでこんなに恥ずかしいのかと真未が目を丸くして固まっていると、朝陽がそっと近づいて耳元で囁いた。

「ほんと、可愛い……」

「も……本当にやめてよ!」

やっと治まりだした顔の火照りがまた急激に上がって、真未は小声で怒るも朝陽は悪戯に笑うだけだった。
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