晴れた雨
「それでは今から、4組と2組の試合を始めます。
代表の人はじゃんけんしてください。」
いよいよ始まってしまったサッカーの試合。
さっきから木村さんに見られているけど、私は目を合わせまいと頑張っている。
優実はそれに気づいているようなので、若干私を庇ってくれている。
なんであそこまで私を敵視するのは謎だけど、とにかく今は無事に試合が終わりますように。
ただそう願うばかりだ。
結局じゃんけんの結果4組がボールを蹴ることになった。
「ピッ」
笛の音とともにゲームがスタートした。
うーん…見事になにもすることがない。
皆キャーキャーわーわー言っているが、私はただボールを追いかけるのみ。
まさについて回るだけ。
「薫!」
「おわっ!」
そんな風にぼけーっとしていたら、クラスの子が私にボールをくれた。
まさか来るとは思っていなくて気を抜いていたけど、なんとか受けとる。
私にはどうすることもできないので、近くにいたサッカー部の子にパスしようとボールを蹴った。
「松野さん!」
「はいはーい!」
松野さんがボールを受け取ろうとしたとき、木村さんがそれをカットした。
そしてそのまま4組に渡り、一点を入れられてしまった。
「ご、ごめんなさい…」
あのパスが通っていたら点は入れられなかったかもしれない…
「いやいやいいよ!
それに、結構良いパスだったよ!」
松野さんはそう言って私の肩を軽く叩く。
その優しさに思わず感動してしまった。