晴れた雨
「あっつ~」
パタパタとシャツで空気を送りながら、安藤くんが歩いてきた。
「あ、3組が来た。」
それにすかさず優実が反応する。
「なんだよ、3組って。」
「安藤くん3組だから敵ってことだよ。」
「小学生か!」
安藤くんの突っ込みに、私と優実は笑う。
「透は?」
「今試合中。」
「お前らは応援いかねーの?」
「微妙に時間被ってるから行けないの。」
盛岡くんは頑張ってる頃だろうな~
「安藤くんはバスケだっけ?」
「そうそう、俺中学の時やってたから。」
「へー、なんか分かる気がするわ。」
「なんで?」
「雰囲気?」
優実の言うとおり、なんとなく安藤くんはバスケしてましたな感じがする。
「高校ではしないの?」
「しようと思ったけど、他の事にハマったから。」
「なににハマったの?」
安藤くんはその質問に、答えなかった。
ただ、いたずらっ子のような顔で「秘密」と笑った。
「何渋ってんの。」
「秘密は多い方がミステリアスだろ?」
「何言ってんだか、変な奴。」
「おーい、遥斗ー。
バレー見に行こうぜー。」
少し離れたところで安藤くんを呼ぶ集団が見えた。
なるほど、あれが安藤くんの友達…
確かに少し派手目な人たちだ。
「おー、今行く!
じゃ、俺行くわ。」
「はいはい、じゃあね。」
「応援頑張ってね~」
こちらを振り向かず手を振る安藤くんは、さっさと走って行ってしまった。
残った私たちは試合が始まる直前まで、日陰で休んでいた。