過去の精算

私の送別会が始まって30分程経った頃、スーさんと事務長が駆け付けて来てくれた。

「遅くなってごめん。
キャサリンちゃん、また辞めちゃうの?」

「モーさん来てくれてありがとう。
キャサリンとても嬉しいです!
でも、もう会えないのは寂しいです」

「僕も寂しいよ?
今度はどこに行くの?」

私が東京だと言うと、事務長は自分も東京へ引っ越すと言う。

「え?
モーさんお仕事は?」

「あー辞めるんだ。
あの病院も無くなるしね?」

「えっ!
病院が無くなるって…
もう決まってるんですか?」

事務長は、院長夫人と 楓 銀行の頭取が、話しを進めてるから、間違い無く、無くなると言う。

ママが言ってた話はホントだったの?
それも、頭取が絡んでるってどういう事?
娘の結婚相手の病院無くすなんて!

「まぁ僕も良い思いさせて貰ったし、東京にマンションも買えたし、後は一生暮らせるだけの謝礼と退職金貰ってオサラバさ!」と、事務長は嬉しそうに言う。

謝礼って…なんの?

「大きい病院は、退職金の他にお礼もしてくれるんですか?
モーさん凄い!
お仕事いっぱいしたんですね?」

「何年も院長夫人の為に、働いたからね?」

院長夫人の為…?

「ここだけの話、うちの院長夫人は男癖悪くてね?
あちこちのホストのコ(男)に貢いでいてさ?
一晩で100万なんてざらだったよ?
勿論、院長はそんな金出さない」

「え? じゃ、どうしてたんですか?」

「だから、僕がね…」

事務長は私の耳もとで、データー改ざんして、院長夫人の為に捻出してたと言う。

それって…

事務長は内緒だからね、と、私に口止めした。

「モーさんそれって…」

「君も共犯だよ?」

私が共犯って…どう言う事?
私は何もしてない!




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