過去の精算
「カズ、早く!」
「そんなに急いで、どんだけ人気なんだよ?」
今日、みち子さんはハワイへ行ってしまう。
ハワイへは元ホストの彼と移住する為に行くらしい。
カズがみち子さんに逢えるのも、これが最後かもしれないと思った私は、彼に何も言わず、食べたいお弁当が有るからと、嘘ついて空港へ向かってるのだ。
「何処の弁当だよ?」
「え? なに?」
「弁当だよ!」
「えっと…まだ決めてない…行ってから決める」
「なんだそれ?」
いいから急いでと言って、空港に着くと、彼の手を掴み、搭乗口へと急ぐ。
「おい、弁当ならこっちだろ?」
「いいのこっち!」
私はみち子さんを見つけると、大きな声で叫び、手を振る。
「えっ? あなた達どうしたの?」
「見送りに来ました。
あっ、これ私が作った佃煮です。
良かったら食べて下さい。
気に入ったら連絡下さい。いつでも送りますから?」
「有難う」
「ほら、カズもなんか言いなさいよ?
みち子さん、ハワイに移住しちゃうんだよ?」
「はぁ!? なんで?」
「みち子さんの夢だったんだって、ハワイに住む事」
「なんで、未琴がそんな事知ってるんだよ?」
「…えーとなんて言うか…友達? そうお友達になったの?」
彼は友達と聞いて、怒っていたが、そんな事は、どうでも良い。
今は、彼の口からちゃんと聞きたい。
お母さんを許してる言葉を・・・
「カズ、このままで良いの?」
「……俺の嫁さん良い嫁さんだろ?
お袋も、今度こそは幸せになれよ?」
カズ…
「和臣…有難う」
みち子さんは、元ホストの彼と手を繋ぎ、笑顔で別れを告げ、搭乗口へと入って行った。
「未琴…内緒事は、しないって言ったよな?
帰ったらお仕置きだからな!」
カズはそう言って、私の手を握り、小さな声で “ 有難う ” と言った。
「え? なに?
今なんか言った?」
「なんも言ってない。どんなお仕置きしようか考えてただけ!」
うふふ…
ちゃんと聞こえたもん!
“ 有難う ” って!
私、良いお嫁さんだから、耳も良いのよ?
これで本当に終わりです。
ここまだお付き合い頂き、有難うございました。
また、お会い出来る事を願って・・・m(._.)m
