グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)

 数日後。

 今日はジックニーは休みの日。

 外はすっかり雪化粧。

 
 先に起きたノエリは、ベランダの外を見ていた。

 積もった雪を見て、ノエリは少しだけ嬉しそうな顔をしている。

「白い雪は・・・心も真っ白にしてくれるね。・・有難う・・・」

 独り言のように呟くノエリ。


 そのままキッチンに向かうノエリ。

 食卓のテーブルに飾ってある生け花が、少し枯れかかっている。

「あ・・・」

 枯れかかっている花を見て、ノエリはそっと手をかざした。

 すると・・・

 枯れかかっていた花が、イキイキとなりまるで光を放っているかのようにまた元気を取り戻した。

「よかった、元気になって」

 花がイキイキ蘇ったのを見て、ノエリはまた嬉しそうに笑った。


 キッチンに向かい朝ご飯の準備をするノエリ。

 
 ジックニーはまだ寝ていて、起きてこない。

 寝室のドアを見て、ノエリはまだ起きてこないジックニーを確認した。

「今なら大丈夫ね・・・」

 
 そう言って、ノエリは何やら小さな声で言い出した。

 すると・・・

 冷蔵庫が勝手に開いて、食材が順番に飛び出してきた。

 包丁が勝手に出てきて食材を切ってくれる。

 鍋も出てきて水が入り、ガスがついて・・・

 ノエリは食器を準備している。

「あ。そうだ・・・」

 フライパンが出てきて、パンが飛び出し、卵が出てきて調理を始める。

 
 ノエリはお皿をテーブルに並べる。

 フライパンから出来上がったフレンチトーストが、お皿の上にやってくる。

 そしてお鍋からは、スープがカップにやってくる。

 用が済んだ食材は、綺麗に冷蔵庫へ帰ってゆき、お鍋やフライパンもサーッと綺麗に洗われて、もとにあった場所へ帰ってゆく。

 

 ボーン。

 振り子時計が7時の時刻を知らせた。


 寝室のドアが開いて、ジックニーが起きてきた。


「ん? なんかすごくいい匂いがする・・・」

 目をこすりながら、ジックニーは食卓に近づいてきた。


 食卓には、美味しそうなフレンチトーストとコーンスープ、そして目玉焼きとハムとサラダが用意されていた。

「すごい。これ、ノエリが作ったの? 」

「は、はい・・・。少し、本を見て作ってみました。味は分かりませんが・・・」

「有難う、すぐ顔洗ってくるね」

 とても嬉しそうに、ジックニーは洗面所へ向かった。

「・・・やっぱり嬉しいなぁ。喜んでくれる顔・・・」

 ノエリはカップを取り出して、コーヒーをいれた。
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