グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)

「当たっていた? 」

 視線を落としているノエリの顔を覗き込んで、ジックニーが言った。


「ごめんなさい。ずっと、帰れないと思っていたのですが。母と連絡をとれるようになって、父の事を聞いて。本来なら、私が帰って父の後を継がなくてはならない事を思い出したのです」

「そっか。ノエリは妖精界のプリンセスだもんね」

「でも、私の下には妹がいますので。妹が父の跡を継ぐ事もできますので・・・その・・・」

  
 そっと、ジックニーはノエリの肩に手を置いた。


「そうやって言い訳して、自分の本当の気持ちを隠すのはもう止めようって、約束しただろう? 」

「はい・・・」

「20年も住んでいれば、帰りたくない気持ちが強くなっても不思議じゃないよ。ノエリにとっては、助けてくれた人も沢山いるわけだし」

「はい・・・」

「だから、俺は。ノエリが本当にしたいように、するのが一番だと思うよ」


 本当にしたいようにする・・・

 妖精界に帰って王位を継ぐのか、このまま人間界に住み着いてしまうのか。

 どちらが本当は自分の選びたい道なのだろう? 

 
 少し考えてみたノエリだが、どちらを選べばいいのか答えば見つからなかった。


「俺はこれからもずっと、ノエリと一緒にいるよ。ノエリがもし、妖精界に帰ると言うなら俺も一緒に行くから」


 え? 

 驚いた目をして、ノエリはジックニーを見た。

 目と目が合うと、ジックニーはそっと微笑んでくれた。

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