グリーンピアト物語~醜い妖精とイケメン君~(完結)

「俺はどこに行っても平気だよ。元々地底人だったけど、今はこうして地上に住み着いちゃっているし。知らない世界に行くのは、不安がない訳じゃないけど。ノエリと一緒なら全然平気だよ」


 嬉しい・・・そんな事言ってくれるなんて、思ってもみなかった。

 どうしよって思ったけど・・・

 やっぱり、妖精界に戻って妖精界を守りたい。

 人間界で経験した事を妖精達にも、伝えてゆきたい・・・。


 ジックニーの言葉で、ノエリの心にあった壁がすーっと取れて行った・・・。


「ありがとうございます。ごめんなさい、1人で迷ってしまって。離れていた時間が長くて、人間界を離れる事に迷いもありました。でも、貴方が一緒に来てくれるなら。私、妖精界に戻って、人間界で学んだ事を伝えてゆきたいと思います」

 俯いていたノエリが、真っすぐにジックニーを見つめた。

「私は、人間を知る為に妖精界から来ました。思いもよらない事故で記憶を無くしてしまい。記憶が戻ったら、顔を変えられて戻れなくなってしまって。絶望しか見えない、暗闇の中にずっと閉じ込められていました。でも、そんな闇の中でも・・・貴方という素敵な人に出会えて、顔の醜い私でも愛してくれて・・・。
そして本当の私に戻してくれた。・・・この経験は、きっと、新しい妖精界を作ってゆく上に必要なことだったんだと私は思っています」


「すごいねノエリ。そこまで、学びとして捉えることができるなんて素敵だよ」

「私1人では、ここまでたどり着けませんでした。貴方が居てくれたから・・・貴方に出会えたから。・・・私は、人間の愛を知ることが出来ました」

 
 潤んだ目をして、ノエリはジックニーを見つめたままそっと微笑んだ。

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