独占欲強めの部長に溺愛されてます
「だって、見かけちゃったんだもん。別の女と歩いてるのを」
望は盛大にため息をついた。
親をダシにしたひどい嘘をついておきながら、よく堂々と街を歩けたものだ。ある意味、度胸がある。
どういうわけか、望はたいていそんな目に遭う。好きになる相手が、ことごとく〝ダメンズ〟なのだ。見た目はいいのに、中身の伴っていない男。そういうのにどうも惹かれてしまうらしい。
せっかくモテるのにもったいないというのが、常日頃から野々花はそう感じている。
「もうちょっと真面目な人を探そうよ」
「それはわかるんだけどねぇ」
なかなかそういかないのが恋心というもの。きっと、頭でわかっていても自制が効かなくなるのだろう。
野々花だって同じだ。絶対に振り向いてもらえないであろう加賀美に、長らく恋をしてきた。頭で無理だとわかっていても、その姿を目で追わずにいられない。
(……それも今日で終わりだけどね)
ふぅと小さく息をつく。
いっそ結婚相談所に登録して、早々に結婚を考えようか。
望の愚痴を聞きながら、野々花はぼんやりと考えた。