独占欲強めの部長に溺愛されてます

肩から脱力して、ふぅと大きく息を吐いた。

あの瑠璃が最後まで仕事を全うするとは。
加賀美の言っていた通りだ。きっかけこそ野々花の体調不良だが、思い切って仕事を任せて正解だったようだ。


「部長、ありがとうございました」


通話を終えて唐突にお礼を言うと、加賀美は目を丸くした。


「間宮さんに任せた仕事、きちんと仕上がったようです。部長のおっしゃる通りでした。私があれこれと手を回すから、彼女のやる気を引き出せなかったんですね」


激しく反省である。もっと早くこうしていれば、備品庫で奇声を上げる事態にならなかっただろうに。そうすれば、加賀美への恋心ももう少し引き延ばしてもっていられただろう。

すべて結果論。なにを思っても後の祭りだけれど。

でも、瑠璃が仕事をきちんとこなせたのは野々花にとってうれしい進歩。教育係として、やっと一歩前進できた気がする。


「これからはもっと任せていったらいいよ」
「そうですね。本当にいろいろとありがとうございました」

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