希望の夢路
「関係ないんだよ、年なんて」
確かに、年齢はネックになるかもしれない。でも、それよりも大切なのは互いを愛し合っているということ。それだけは、何よりも大切なことだ。互いに本気で愛し合っていれば、それでいい。何もいらない。心愛ちゃんがずっと、僕の傍にいてくれるなら、それでいい。それだけでいいんだ。他には何もいらない。
「年齢も大事だぞ?年が離れすぎてもなあ?」
「大事なのは心だ」
僕は智也を見てきっぱりと言った。
「年が離れすぎて話も合わないんじゃないか?」
「そんなことはない。心愛ちゃんとはいつも楽しく…」
「心愛が言ってたぞ?寂しいって」
「寂しい…」
「彼女に寂しい思いをさせるとか、最悪な彼氏だな」
「何だと…?」
「俺なら、心愛にそんなこと言わせない」
「……」
僕は言い返そうと思ったが、なんと言えばいいのかわからなかった。
なんて言えばいい?
確かに仕事が忙しくてなかなか、ここ最近構ってあげられなかったのは事実だし、寂しい思いをさせてしまったかもしれない。もしかしたら、今後もそういう思いをさせてしまうかもしれない。でも、彼女への気持ちは変わらない。大好きな気持ちは、変わることはない。
「俺なら、心愛の夢も叶えられるしな?」
智也は自信満々に胸を張った。
「夢をかなえられる?」
「ああ、そうだ」
心愛ちゃんの夢を叶えられる?
夢?心愛ちゃんの、夢ー

『私、作家になるのが夢なんです。
小説家でもいいんですけど、いろんな文章を書いてみたい。そして、私の文章を読んで読者の人生が明るく変わるような、そんなものを書いてみたい。
もし、私が書いたものが本になったら、博人さんに一番最初に読んで欲しいんです。それが私の…夢』

彼女がそう、目をきらきらさせて語っていたことを思い出す。
確かに、僕じゃ叶えられないかもしれない。智也は印刷会社の社長の息子だし、彼女の夢を叶えようと思えば叶えられるかもしれない。僕は、彼女のー大好きな心愛ちゃんの夢を応援することしか出来ない。僕は文章については詳しくないからよくわからないけど、叶えることが出来るなら叶えてあげたい。でも、僕にはー叶えられない。
応援しか、出来ないんだ。
そばで、応援していることしか出来ない。僕のできることは、あまりに少なくて無力を実感する。

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