希望の夢路
「治るのが七割なんだろ?大丈夫だよ」
「でも」
そんな簡単に、楽観的に私は捉えることが出来ない。普通の人なら、七割治るんじゃん、って簡単に考えるかもしれないけど…。希望がない訳では無い。でも、三割は治らない。
その三割に私も入る可能性だって十分にある。そう言おうと思って、私はその言葉を飲み込んだ。
それを言ってしまえば、彼を困らせることになる。
何より、そんなことを言うんじゃない、と咎められてしまうかもしれない。

「私は治らない三割のうちの一人になるかもしれないという不安を、取り除くことが出来ない」
「ひろくん…?」
「そう言いたいんだろ」
彼はいつも先回りして私を待っている。彼にはいつもかなわないんだよなあ。
「その不安を取り除けるのは、僕しかいないんだよ」
私は、目を瞬かせた。
自信たっぷりに言いながら笑っている彼が、目の前にいる。

「取り除くには時間がかかりそうだな」
「ごめんなさい…」
「いいんだよ。ゆっくり時間をかけて取り除くから」
「ありがとう…」
私は彼にぎゅっと抱きついた。
「看護師さんに言われたの。この病気とは長い付き合いになるって」
治る可能性もあるが治らない可能性だってある。そして、この病気とは長く付き合っていかなければならない。
命に関わるような病気でなかったことだけが、何よりの救いだ。
「はあ…難病だっていうから、どうなるかと思った。命に関わらなくて…良かったよ」
彼は安堵したように溜息をついた。
< 75 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop