希望の夢路
「あの子達とも、長い付き合いになるんだな」
彼は空を見上げて言った。
「うん。魁利には癒されてるけど、楊香には振り回されっぱなし」
「目に浮かぶようだよ」
彼は笑った。
今でこそ二人の存在を認めてはいるけど、最初はなかなか信じることが出来なかったし、まさか病魔が形を変えて人間の姿になって私の目の前に現れるだなんて、思いもしなかった。
しかも、彼女たちに初めて会った日の翌日は二人に会ったことがまるで嘘のように何も見えなかったのに、数日後にはまたあの二人が出現した。
それからというもの、毎日あの二人に振り回されている。

睡眠時間が削られることもしばしばで、二人はなかなか私を寝させてくれなかった。それは今も変わることがない、というのが今の私の悩みの種。
「いつまでも二人の相手してたら、睡眠時間がなくなっちゃう」
私は溜息をついた。
彼がなかなか私を寝かせてくれないなら文句はないけど、あの二人に睡眠を妨げられるのはちょっとー
って、何考えてるんだろ、私…。
「僕がゆっくり、寝かせてあげようか?」
彼の目がきらりと光った。その目に釘付けになってしまった私の鼓動は、どくどくと高鳴っていた。
「そうしてほしいな…なんて」
私が小さく呟いた言葉を、彼は聞き逃さなかった。
「一緒にお昼寝、する?」
彼が熱い視線で私の頬を両手で包みながら、にやりと笑った。
「う…や、やめとくっ」
私は彼から目を逸らした。

私は、傍にあった川を見た。
川は、どんより灰色に曇り始めた空を見事に映していた。
なんだか少し、冷えてきたような気がするのは、気のせいかな。気のせいー
「心愛ちゃん!?」
彼の慌てた声が近くで聞こえたけれど、強い睡魔と重たい瞼には勝てず、
私は意識を手放した。


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