もう、我慢すんのやめた
弥一とデートすることになった、って。
それから、多分佐倉にはもう、嫌われちゃったかもしれないってことも。


萌菜は『は?デート?そっちこそ本気で告られるんじゃないでしょうね!?』とか言って。


かと思えば『は?佐倉が?そんなのありえないから!……もう!あの意気地なし!』って、もはや誰に対して怒ってるのか謎なレベルで、電話越しに叫んでたけど。


私のことはいいから、萌菜はテツとのデートだけを考えて過ごすように言って電話を切ったきりだった。


【緊張してるのは案外テツの方かもよ?萌菜はいつも通りいつも通り‪☺︎‬】

【こっちも水族館、楽しんでるよ】


それだけ返信して、スマホをショルダーバッグの外ポケットではなく、ファスナーを開けて目のつかないバッグの奥底へとしまった。



萌菜と連絡を取ってたら、また逃げそうな気がしたから。


「芽唯、観てみ!」

「え……?って、うわぁ〜!すご〜い!」



青々とした水の中を、悠々と泳ぐ魚の群れ。

魚たちが泳ぐのに合わせて泡立つ水槽の中で、その泡たちが上へ上へと舞い上がって消えていく。

その綺麗で、なんとも幻想的な光景に私と弥一は顔を見合わせて笑った。
< 206 / 233 >

この作品をシェア

pagetop