もう、我慢すんのやめた

< < 佐倉side > >

***



大きくため息をついて見上げた空は、俺の心とは打って変わった晴空。


「どっか行くのか?」


リビングでコーヒー片手にテレビを見てる兄貴に、「んー、ちょっと」とだけ答えて玄関に向かう。



「そう言えば、この間の。松永さんだっけ?……あれからどうなってんの、お前ら」

「っ、」



玄関まで俺を追いかけてきた兄貴の言葉に、自分でも分かるくらいにフリーズして、返事をするタイミングを逃したばっかりに、次の言葉が出てきやしねぇ。


「好きなんじゃねぇの?」


好き、か。


好きってなんだろうな。


俺がどんなに求めて、欲して、手を伸ばしても。あのキラキラした光には届かなかった。


どんなに俺が好きだって、そばにいたいって願ったところで、相手も同じ気持ちでいてくれなけりゃ、辛いだけだって知った。



「好きだったよ」

「ふぅん、もう過去になったわけ」

「兄貴には関係ねぇだろ?行ってきます」



好きだった、なんて。
思ってもねぇこと口にして、ズキッと胸が軋む。
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