もう、我慢すんのやめた
< < 佐倉side > >
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大きくため息をついて見上げた空は、俺の心とは打って変わった晴空。
「どっか行くのか?」
リビングでコーヒー片手にテレビを見てる兄貴に、「んー、ちょっと」とだけ答えて玄関に向かう。
「そう言えば、この間の。松永さんだっけ?……あれからどうなってんの、お前ら」
「っ、」
玄関まで俺を追いかけてきた兄貴の言葉に、自分でも分かるくらいにフリーズして、返事をするタイミングを逃したばっかりに、次の言葉が出てきやしねぇ。
「好きなんじゃねぇの?」
好き、か。
好きってなんだろうな。
俺がどんなに求めて、欲して、手を伸ばしても。あのキラキラした光には届かなかった。
どんなに俺が好きだって、そばにいたいって願ったところで、相手も同じ気持ちでいてくれなけりゃ、辛いだけだって知った。
「好きだったよ」
「ふぅん、もう過去になったわけ」
「兄貴には関係ねぇだろ?行ってきます」
好きだった、なんて。
思ってもねぇこと口にして、ズキッと胸が軋む。