おじさんは予防線にはなりません
コンビニの袋を下ろして曖昧に池松さんが笑い、ひんやりと汗が出てくる。

「池松係長、遅いですよー。
オレがしっかり、羽坂ちゃんに昼メシ食べさせました」

宗正さんは笑っているけれど、目が笑っていない気がするのは気のせいだろうか。

「そうか。
よけいなお世話だったな」

違うんです、そう言いたいのに声にならない。
それに説明したところでそれは、私が池松さんが好きだと告白しているのにほかならない。

「……気を遣っていただいてありがとうございました」

ぎゅっと拳を強く握り、表情を見られたくなくて俯いた。
池松さんに誤解された、けれど説明できない自分が恨めしい。

「いや、よかったな」

そんな淋しげな顔で笑わないでください。
私と宗正さんはなんでもないんですから。

けれどいくら心の中で叫んだところで、池松さんには聞こえない。
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