おじさんは予防線にはなりません
気分がようやく回復したのに、池松さんの口から出る宗正さんの名前に一気にまた下がっていく。

「なんでそんなこと聞くんですか。
宗正さんとはなんでもないですよ」

ついつい、声が尖ってしまう。
きっと眉は、不快そうに寄っていることだろう。

「あ、……すまない」

申し訳なさそうな池松さんの声ではっと我に返った。

苛ついて池松さんに当たったって仕方ない。
池松さんは私の気持ちを知らないのだし、教えるわけにもいかないのだから。

「私の方こそ、すみません。
……これ、よかったらもらってください」

残りのラムネアメを押しつけると池松さんは受け取って、すごすごと自分の机に戻っていった。

この想いが報われないのはもう、諦めがついている。
けれど池松さんに、ほかの男と付き合っているとか、好きだとかそんなふうに思われるのは我慢ができなかった。
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