おじさんは予防線にはなりません
ますます私の手には届かない人なんだと、胸を押しつぶされ息ができなくなるほど苦しい。

「そうだ。
今度、うまいもん食いに行こう。
宗正も一緒にな」

「はい」

にかっと笑う池松さんに笑って返しながらも、ふたりきりじゃないのにがっかりしていた。



池松さんは言ったとおり、ごはんを食べに連れて行ってくれた。

――大河も一緒に。

大河は嫌がるかなって思ったけど、普通だった。

「今日は羽坂がいつも頑張ってくれている礼だ。
好きなだけ食え」

連れてきてくれたのは、会社近くの焼き肉店だった。
このお店の名前は何度か見たことがある。
経費精算の領収書で。
上得意先を接待のときに連れて行くお店だから。
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