おじさんは予防線にはなりません
照れくさそうにぽりぽりと人差し指で頬を掻き、誤魔化すように笑った。

「食うか」

「そうですね」

さっきまでのことはなかったことにしてサラダを口に運ぶ。

「この頃はどうだ。
なんか困ったこととかないか」

池松さんがときどき、私をランチに誘ってくれるのはこの為だ。
あとは気分転換。
そういう気遣いはとても嬉しい。

「そうですね。
ちょこちょこ小さなトラブルはありますが、処理できないほど大きなトラブルはないです」

マルタカのレディースファッション部で働きはじめて、もうすぐひと月がたとうとしている。
相変わらず女性社員たちは意地悪だし、本多課長の影は薄いけれど、なんとかやっている。
それもこれも池松さんのおかげかもしれない。

「お待たせいたしました。
厚切りパンチェッタの温玉のせカルボナーラです」
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