おじさんは予防線にはなりません
「……まあ、そういう羽坂が可愛いんだけどな」

ぽつりと漏らすと、私から視線を逸らして窓の外を見て、池松さんはくいっと眼鏡を押し上げた。

……って、それ、なんですかー!?

どきどきと早い心臓の鼓動が落ち着かない。
動揺を落ち着けるように冷たい水を飲む。

……待って。
ちょっと待って。
なんで照れるんですか?
私の方が恥ずかしくなってきます!

なんとなく気まずくてちびちび水を飲むフリをして黙っていた。
池松さんだって頬杖ついて外見たまま黙っているし。

このおじさんはいつもそうなのだ。
さらっとああいうこと言って、言った自分に気づいて恥ずかしくなって照れる。
計算、じゃなくて天然でやっているんだからたちが悪い。

「セットのサラダです」

すぐに店員がサラダを運んできて、池松さんと目があった。
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