おじさんは予防線にはなりません
ここでの仕事は多忙だ。
任されている事務処理プラス社員さんたちの雑用もこなさないといけない。

「羽坂はどうするんだ?」

「あー……」

つい、フォークを置いて苦笑いしてしまう。
会社自体はカレンダー通りで、祝祭日と土日以外は営業になっている。
けれど社員の大多数は有休を使って長期の休みを取るし、そうするようにも勧められているらしい。

「……私は普通に出勤しますよ」

派遣の仕事は時給制だ。
休めばそれだけ給料が減る。
それでなくてもカツカツなのに、給料を減らすわけにはいかない。

「それより池松さんはどうなんですか?
奥様と旅行に行ったりするんじゃないんですか」

「あー……」

池松さんの手が止まり、視線が明後日の方向を向く。
なにか聞いてはまずいことを聞いてしまったのかな。
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