おじさんは予防線にはなりません
「村田には俺から言っとくわ。
私物化の件もそれとなく」

「本当にありがとうございます……!」

「よせよ。
おじさんは当たり前のことをするだけなんだから」

また池松さんが眼鏡をくいっとあげるから、思わずくすりと笑いが漏れた。

「あとこれ」

ごそごそと池松さんはポケットを探り、私の前に手を突きだしてきた。
慌てて両手の平を揃えて上向きにして出すと、その上にパインアメが乗せられる。

「落ち込んだときは糖分補給。
元気、出せや」

にかっと笑うと池松さんはひらひらと手を振って行ってしまった。

……また池松さんに助けられた。

アメの小袋を開けるとぽいっと口の中に放り込む。
甘酸っぱいアメは確かに、私に元気を出させてくれた。
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