おじさんは予防線にはなりません
にっこりと笑うと女性――世理さんはますます美人だった。
女の私でも見惚れてしまうくらいに。

「あっ、羽坂、です。
いつも池松さんにはお世話になっております」

見とれていた自分が恥ずかしく、慌ててあたまを下げる。
世理さんはおかしそうにケラケラと笑った。

「可愛いわね、この子!
ペットにして可愛がりたいくらい」

「……はい?」

世理さんの両手がわしゃわしゃと私のあたまを撫で回す。
髪がぐしゃぐしゃになって困るし、なにを言われているのか理解できない。

「……世理」

はぁーっ、池松さんの口から落ちるため息は呆れているようで、こんな状況がしょっちゅうなのだとうかがわせた。

「なに、いいじゃない」

世理さんは唇を尖らせ、手櫛で私の髪をあっという間に整えてくれる。
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