おじさんは予防線にはなりません
でもいままで全然、気にしていなかったですよね。

「大河(たいが)に馴れ馴れしくしないでって言ってるの!」

意味がわかっていない私に苛ついたのか、森迫さんが一歩、ぐいっと迫ってきた。
けれど大河って誰のことだか私にはわからない。
池松さんはこの間、奥さんに和佳って呼ばれていたから違うっていうのはわかるけど。

「昨日、大河と話してたでしょ!?」

さらに一歩詰め寄られて、私も一歩下がったけれど、無情にも背中は壁についてしまった。
これ以上迫られると逃げられない。

しかし、大河っていったい誰だろ。
昨日、話した男の人……。
あ、もしかして。

「……大河って宗正さんですか?」

「それ以外に誰がいるっていうの!」

森迫さんの声がびりびりと鼓膜を震わせ、身体がびくりと小さく縮こまる。
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