正義が悪に負ける時


「内科は・・・2Fか。」


自動ドアをくぐり、壁に表示されているインフォメーションを真田さんと一緒に見る。


「・・・・・・・・・・。」


「・・真田さん?」


「小西、まずは耳鼻科だ。」


「は?」


“ちょっと待ってくださいよ”と言う間もなく、真田さんはエレベーターの方へ向かっていく。


「フユミの職場は内科ですよ?
俺達も・・。」


「フユミの同僚にはもう皆が聞き込んでるんだろ?

あんまり刑事が取っかえ引っかえ訪れて似たような事聞いてたら、相手方に迷惑だよ。」


「・・・・・・確かにそうかも・・。」


「それにフユミとよく関わっていた同僚はダメだ。証言に主観が入りすぎる。

何か新しい事を知りたければ、もっと客観的に被害者の事を見ていた人の方が良い。」


「客観的ですか・・。」


「こんなでかい病院だったら1人や2人いるだろ。

お喋りとか仲間内での井戸端会議が好きな、色々と事情通の・・・。」


「“おばちゃん”って言葉がよく似合う、
恰幅の良いベテラン女性看護師さん!」


「そうそう、そんな感じ。」

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