かわいい戦争
逆上した不良たちが一斉に襲いかかってきた。
足音だけでうるさいのに、絶叫も加わって鼓膜が破れそう。
敵の波が打ち寄せるせいで、反対側がよく見えない。
璃汰が見えないよ。
「海鈴ちゃんは俺の後ろにいて」
未來くんの背後に下がらされた。
盾になろうとしてくれてるんだ。
でも。
「わたし、璃汰を……!」
助けに行かなくちゃ。
一刻も早く。
「わかってるよ」
「未來くん……」
「海鈴ちゃんは俺の後ろで様子を窺って、隙をみて璃汰ちゃんを助けに行って。いーい?無茶は絶対にしないでね」
守るだけじゃない。
わたしのことを頼ってくれる。
非力だけれど、小さくて足が速いわたしだから、できること。
任せてくれてありがとう。
一緒に戦うって、たぶんこういうこと。
「うん!わかった!」
頭にポンポンと2回弾んだ未來くんの右手が握り締められ、そのまま接近していた不良の顔面にクリティカルヒットした。
す、すごい……!
「それにしてもよくこんなに集まったよな」
「相当ぶっ殺されてーんだろ?」
「それじゃ、ただのM」
「マゾな奴が30人も協力するわけねぇだろ!どんな偶然だよ!?」
「一概にねぇとは言えねぇだろーが」
「ん~……下剋上したいとか前に負けたからとか命知らずのバカとか、ありがちなのはそこらへんじゃね~?」
あれ?
皆普通に喋ってるけど、今喧嘩中だよね?