かわいい戦争
芸能人を目撃した以上の好意的な反応をやんわりかわしながら、2人の男の子が教室中をキョロキョロを見渡した。
……あれは見間違いだ。
そうでなければ幻覚だ。
わたしの知る、あの2人なわけない。
まさかね。
そんな、ありえない。
「ここにもいね〜か」
「じゃあ隣の…………あ」
「どったの?」
「いた」
「え、まじで?ラッキー」
ありえちゃいけない。
なのに。
どうしてわたしと目が合っちゃうの。
どうしてわたしから目を逸らさないの。
どうして。
わたしに接近してくるの!!
「ハロー、昨日振りだね」
「こんにちは」
「えっ……うわあっ!?」
ガッターン!
びっくりしすぎて、椅子から転げ落ちた。
「いたたた……」
「大丈夫~?」
「あ、だ、だいじょ……」
差し伸べられた手に、自分の手を添えて、おもむろに顔を上げれば。
ピタリ。
ロボットの如く、静止してしまった。
だって、目の前にいるのは
紛れもなく
学ラン肩かけ男と、美人な男の子だから。
「ん?」
「っ!!」
触れてる手が学ラン肩かけ男のだと脳が理解すると、急に手のひらが汗ばんでいく。
わたしの時間だけ止まってしまったみたいだ。
静止したまま動かないわたしを、美人な男の子が訝しげに見つめる。
「ほんとに大丈夫?頭打った?」
「……っ、い、いえ!ダイジョウブ、デス!」
「なんでカタコト?」