愛されプリンス½



ゴミ箱の後ろにいる私の存在になど微塵も気付くことなく、ドカッとベンチに腰かけるプリンスとチャラミルク(“いかにもチャラそうなミルクティーみたいな髪色した男”の略である)。


「で、食うの?その弁当」


…もしやその“弁当”というのは、みのりがあげたお弁当のこと…?


ハッとプリンスが鼻で笑ったのが分かった。


そっとゴミ箱の影から覗き見たプリンスは、いつものプリンスとは全く別人。



あの完璧な笑顔はどこへやら。


バカにしたような笑みを浮かべるその男は、



―――ダレ…?




「食うわけねーじゃん。

こんな危険なモノ」



声もいつもの数段、低い。



プリンスは乱暴にみのりのお弁当をつかむと、そのまま、ゴミ箱に投げ入れた。




……うそ…。




みのりが震える手で差し出していたお弁当が、箱のまま、今ゴミ箱の中にある。




「うわっ、ヒデー(笑)」


チャラミルクがケラケラ笑いながら言った。



「酷くねーし。見ず知らずの女が作った弁当なんて気色悪すぎて食えねーよ。

受け取った時気色悪すぎてゾクッとしたもん」


「じゃー受け取んなよ初めっから~」


「バカ。ボランティアだよ、ボランティア。

俺みたいなパーフェクトな男は、下民の女どもに夢を見させてやる義務があんだよ」


「何だよそれ~」



ギャハハハと笑うチャラミルク。





全然。全然全く1ミリも1ミクロンも面白くねーし。


つーか。



プリンスだかプリンセスだかなんだか知らないけど。




何様だこいつっ!?!?






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