愛されプリンス½
そんなわけで。
「よかったぁ…」
私は屋上のベンチで一人寝っ転がり、青空を見つめていた。
みのりとお弁当を食べた後、毎日ここに来て、一人でのんびり空を眺めるのが私の日課だ。
みのりと過ごすのはもちろん楽しいけど、こうしてベンチに寝っ転がって、ゆっくり空を流れる雲を眺めたり、風を感じたり。
一日で一番好きな時間だったりする。
「本当によかったぁ、お弁当渡せて…」
思い返すのはみのりの弾けるような笑顔。
お弁当、プリンスが受け取ってくれてよかった。
それにしても、ビックリしてる様子も、照れてる様子も全くなかったよなぁ、プリンス。まぁプリンスくらいになれば仕方ないのか…。
そんなことをボンヤリ考えていると、
ガチャ。
扉が開く音。続いて男子の話し声。
「…にしても、まだ玲に弁当渡す女子なんてこの学校にいたんだ?勇気あるなソイツ。どんな女?」
「別にフツーだよ。フツー過ぎて顔も覚えてねぇ」
…ん?この声どっかで聞いたことあるような、ないような…。
ベンチに寝っ転がったまま、グルンと首だけ扉の方にまわすと
「!!!!!」
ベンチの隙間から見えたのは、プリンスともう一人、明るいミルクティー色の髪色をした男がこっちに向かって歩いてくるところだった。
そっか、そういえばプリンスって下の名前“玲”だっけ…!
って。
気付いたら、なぜかベンチから離れ近くのゴミ箱の後ろに姿を隠していた。
…私何で隠れてんだろ…?