愛されプリンス½





「って…何年前の話だっつーの」




じゃがいもを拾って立ち上がる。そしてその足でテレビの電源をつけに行った。普段より少しボリュームを上げる。


テレビの中では、何人かのタレントや芸人が激辛料理に汗だくでチャレンジしているところだった。




もう私も子供じゃないし、雷が簡単に落ちないってことも分かってる。


怖くない。全っ然、こわくないから!




言い聞かせてからキッチンに戻った。



テレビをつけたお陰か、さっきまでより、雨の音もそこまで気にならない。



もっと早くつければよかった。





それからは一心不乱にカレー作りに取り組んだ。あいつ来るかなぁと少し思ったりもしたけど、いつもの時間になっても来なかった。





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