愛されプリンス½
「いただきまーす」
一時間後、出来上がったカレーお皿によそって、手を合わせる。
雨の音と、テレビの中から聞こえる芸人のバカ笑いと、私がカレーを食べる音。
――なんか静かだ。
いつもはお母さんがいるし、
あいつが来る時なんてもっと賑やか。
『本当いつも絶品ですね、麻美さんの料理は』
『やだっもう玲くんったらぁ~♡いっぱい食べていいのよ♡』
毎回のようにそんなやり取りをしてるから、よく飽きないなぁと思うけど。
…なんか今はそれが少しだけ、ほんの少~~しだけ、恋しく感じる。
よりによってこんな天気の日に一人きりなんて…ついてないな。
はぁ、と思わずため息が漏れた時だった。
ピンポーン
不意に響いた来客を伝えるチャイム。
一瞬、天王子!?と思ったけど、あいつが来るとしたらもっと早い時間だ。
だとしたら…宅急便とか?いや、お母さんが何かを頼んでる様子なんてなかったし、それにしてはやっぱり時間が遅いし。
…じゃぁ…だとしたら…誰?
こんな嵐の日に訪問者なんて…
まさか泥棒!?不審者!?変態!?
ピンポーン
「ひっ」
私を追い立てるように、二回目のチャイムが鳴った。