愛されプリンス½
学校では関わらない、というのが、天王子に協力するかわりに私が出した交換条件だ。
だが、水川にそう言われ無視するのも不自然と判断したのか、ニコニコ笑顔、猫かぶりモード発動中の天王子が私に近づいてきた。
「えっと…誰だっけ?」
「んだよとぼけんなって!こないだ屋上であった一花ちゃんだよ!ほら、ゴミ箱から出てきた!」
ゴミ箱から出てきた!?
「…そんな子いたっけ?」
「だからぁとぼけんなよ!お前に強烈なビンタかました子だよ~☆」
“ビンタ”というワードにざわめく周囲!
ほんと…マジでやめてくれ、水川!!
「ちょっ…どういうことなの一花!?」
隣のみのりがすかさず私に聞いてくるけど、ごめん。今は答えてる場合じゃない!
「ちょっと…何言ってるの水川くん?」
ニッコリ笑顔を水川に向けると、水川もニッコリ笑顔を返してきた。
「だからぁカイちゃんでいいよって♪」
「水川くん、ビンタって何の話?人違いじゃない?」
「ははっ人違いなわけないじゃん!あんな強烈な子忘れないって!」
なぁ玲~?とバンバン天王子の肩をたたく水川。笑顔を全く崩さず、「あぁ」と天王子が柔らかな声を出す。