愛されプリンス½
「あーあ、ほんっと、プリンスの彼女になれる人は幸せだよなぁ…」
雑誌の中で微笑むプリンスを人差し指でなぞりながら、みのりがしみじみとそう言った。
「プリンスって今彼女いないの?」
「いないみたいよー。それこそ何百人も告ってるらしいけど全員断られてるみたい」
何百人って…。
ドン引きしている私に気付くことなく、みのりが続ける。
「まぁこの学園でプリンスに告白する勇者なんてもういないと思うけどねー」
「え?何で?」
「だってなんていうか、プリンスはもう、みんなのプリンス?みたいな?観賞用っていうか、芸能人?この学園の象徴的存在?」
象徴的存在って…天皇陛下じゃあるまいし。
「それに」
不意に真剣な顔になったみのりが、眉をひそめた。
「もしこの学園内に彼女なんて出来ちゃったらファンクラブが黙っちゃいないでしょ」
「黙っちゃいないって…」
「前にプリンスの隣の席になった女子は、ファンクラブに嫌がらせされて退学まで追い込まれたらしいよ」
「な…」
何だそりゃっ!隣の席になっただけで退学って…!
またもやドン引きする私。
やっぱり異常だ、この学園…。