愛されプリンス½
「お前はマジでアホなのか?
こんなとこ偶然通りかかるわけねーだろ」
「え、で、でも」
まさか天王子が私を助けに来てくれる、なんて。
「…あんたって意外といい奴「勘違いすんなよな」
は、とバカにしたように片頬だけを吊り上げる天王子。そして私に近づいて
「ぶっ」
片手で私の両頬をブチュ、と潰した。
タコチュー状態の私を見てフン、と鼻で笑う。
「別に助けたくて助けたわけじゃねーよ。
でもお前にはまだ利用価値がある。
こんなとこで変にいじめられて退学でもされたら俺が迷惑なんだよ」
…やっぱり、自分のことしか考えてない。
「さいへー…(最低)」
「何とでも言え」
私の頬から手を離した天王子。
再びポケットに手を突っ込むと偉そうに私を見下ろして
「だから次からは俺を呼べ」
「…は?」
「言ったろ。守ってやるって」
お前に利用価値があるうちは、な?
悪戯っぽくそう笑って、天王子が行くぞ、と私の横をすり抜け歩き出す。
「…え?行くぞって」
「昼飯食うぞ」
「…はぁ。食えば?」
「一緒にこい」
「…はぁ!?」