愛されプリンス½
天王子の後を追って着いたのは屋上だった。
天王子とあの日、はじめて会話をした日から一歩も足を踏み入れていなかった屋上。
そこには既に先客がいて、水川開人と二人の女子が楽しそうに話していた。
ただ話しているわけではない。
水川は、水川の隣に座った女子の腰に手を回し、もう一人の女子は、な、なんと頭を水川の膝にのせている…!
え!?ここどこ!?キャバクラ!?それともどっかのホストクラブ!?どっち!?!?
どちらにせよ不健全な香りがすることには違いない。
「開人」
天王子が近づいていって、水川に声をかける。
「お~玲、どこ行ってたんだよ~?」
相変わらずの間延びした声と、キャ〜ップリンス!という女子の歓声。
「…開人」
天王子が水川に向かって、笑顔でゆっくりと頷く。
すると水川は、はぁ!?と大袈裟に顔をしかめた後、やれやれと肩を竦めて
「ごめ~ん、俺と玲ちょーっと大事な話があるから教室戻ってくれる?」
あどけない笑顔で、自分を取り囲む女子にパンッと手を合わせた。