愛されプリンス½
言葉に詰まった私に、ハハハッと片手にいちごミルクのパックを持った水川がおかしそうに笑う。
関係ないけど、いちごミルクがよく似合う。
「別に弱味握っても握られてもないよ、俺は。
玲とは中学一緒なんだ。しかも1年から3年までずっと同じクラス」
「あ…そうなんだ」
中学の頃の天王子…きっと今みたいにモテまくってたんだろうな。
学ラン姿の天王子を想像していると、水川が「松美中学って知ってる?」と聞いてきた。
「う~ん…聞いたことないなぁ」
半年前に転入してきたばかりでまだこの辺に詳しくないっていうのもあるけど、全く聞いたことがないから少なくともそんなに近くはなさそう。
松美中学出身って子にもあったことないし。
だよねぇ~、と水川が苦笑いする。
「ま、無理もないよ。なんせこっから電車で二時間はかかるとこだから」
「にっ…二時間!?」
遠!
中学ってことは、きっとそこが地元ってことだよね?そんな所から何でわざわざこの高校に…!?
ここ、朝倉学園はこの辺ではそこそこ制服が可愛くて、そこそこの進学校だけど、そんな二時間もかけて通うような学校では…ないような気がする。
「いやぁ~、大変だよ。
さすがに毎日通学四時間はダルいからさぁ、女の子のおうち泊まらせてもらったりしてるけど☆」
得意そうにウインクを飛ばしてくる水川。
そのどちらかというと子供っぽい顔立ちに似合わず、やっぱり奴からは不健全な香りがする。