昨日の君に恋をする。
出会い
俺が朝学校に行くと、すぐに皆が黄色い歓声を上げる。僕一人が、普通に登校して来たことの何に皆興奮しているのだかさっぱり解らない。

それでも俺は、皆が期待した目で俺を見てくれるから、期待には応えないとな、と思う。
だから、俺のイメージに合うように一人称は皆が居る時には「僕」。言葉遣いも丁寧に少し可愛らしく、を常として。

「よー、ヒカル。今日も大人気だな」
「うん……何でだろうなぁ」

中学校からの友達、祐介が笑いながら話しかけて来た。祐介相手にも少し可愛らしく言うのは、癖になってしまったからだろうな。

「にしてもよ、そろそろ高3最後の夏になるけど、彼女は作らねーのか?」

祐介が心底不思議そうに言いながら、女子達をチラっと見た。歩きながら「まぁ……そうだよね」なんて呟いて教室に向かった。

「でも、僕さ、恋って言うのがどんななのかわからないから……そんな気持ちで付き合っちゃうのは、失礼……じゃん?」

俺が拳を握りしめてそう言うと、祐介は心底疲れたようにはぁあとため息を吐いた。

「おめーって、ホント良い奴だよな!最高だわ」
「そうかな?ありがとう」

そう言えば、もう夏なのか。
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