素肌に蜜とジョウネツ

店内でドレスに着替えてフロアに出ると、早速、指名が入っていた。


「ジュリちゃ~ん~、久しぶりだね~どうしても会いたくて面倒な会議をさっさと終わらせて来ちゃったよ~」


私の顔を見るなり、少々いかつい顔をデレっとさせて、手を振る初老男性―…

私が入店した当初からなぜか気に入ってくれていて、ずっと指名をしてくれている。

大手会社の会長をしていて、レギュラーでもない私が持つ、数少ない羽振りのよいお客さま。

ちなみに奥さんとは最近離婚が成立したみたいで、

結婚時、お互いにとても可愛がっていた愛犬、ナターシャ(豆柴)をどちらが引き取るかということで揉めていて、

弁護士介入になる一歩手前まできているらしい。


そして、私は雰囲気がその愛犬に何となく似ているそうだ……


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