学年1のイケメンが探してる美少女は うちの弟です
……特別な、存在……。
なんの取り柄もなくて、平凡な人生を送ってきた私が……?
「出会い方は微妙だったけど、喋ってみたら印象が変わる…って、結構聞く話じゃない?」
「それは…まぁ……私だって、時雨くんの印象はだいぶ変わったけど……」
「じゃあ好きになってもおかしくないっしょ。 趣味の話が気軽に出来る関係なら尚更にね」
ニコッと笑った和真は、よいしょ と言いながら立ち上がった。
グーッと背伸びをしてから、ゆっくりと歩き出す。
「俺もトイレに行ってこようっと。 あと、俺は俺で写真撮りたいから、モデルは出来なくなった…って円くんに言っといて」
「えっ……ちょっと、和真っ……?」
「バイバーイ」
子供のように大きく手を振り、和真は去っていった。
それと入れ替わるように、時雨くんがやって来た。
「あれっ、和真もトイレ? トラも行ってくるってさ」
「時雨くんっ……。 あの…和真ね、このまま別の場所で写真を撮るみたい。 だからモデルは出来なくなった…って言ってたよ」
「マジで? まぁ、仕方ないか。 せっかく絶好のスポットに来たんだから、自分の方にもアップしたいっつー気持ちはわかるし」
「えっと……なんか、ごめんなさい……」
「いいよ、平気」
時雨くんは私の隣に座って、小さく息を吐く。
少しだけ、残念そうな顔をしながら……。