王女にツバメ
一夜に終わらず

疲れていたのだ。
あたしは自分に言い訳をする。

連勤の終わり。世間一般にいう社畜なんかに自分がなるわけがないだろう、なんて入社当時は思っていた。

人間は疲れすぎると眠れない。
明日の休みが唯一の救い。

最寄りのバーで酒でも飲んでいこう、と入った。

そこまでは良い。

「おねーさん、めっちゃ飲むね」

……いつの間にか隣に座っていた男。

ぐび、と驚いてモスコミュールで喉が鳴った。あまりのフランクさに、こんな知り合いいたっけ? と頭の中でアルバムを捲ってしまった。

「さっきからハイペースで飲んでるからさ、気になって」

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