王女にツバメ

ペラペラと捲られて、結局アルバムは閉じられた。
知らない男か。

「ねえ、仕事終わり?」

ねえ、の音が女に甘え慣れてる感じ。てか、こんなとこで飲んでる女に話しかけられるなんて、慣れている男以外に居ない。

「ええ、まあ」

グラスを置いて距離を取る口調。着てるものが制服だったら高校生にも見える。可愛い顔しちゃって、羨ましい。

「お疲れさまです」
「どうもありがとう」

見ず知らずの他人に労ってもらえるなんて、あまりない。そんな悪い気にもならず、酒が入っているのもあって、グラスを彼のグラスにぶつける。

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