王女にツバメ

IT企業って何か胡散臭いと思っていたけれど、そういうことなのかもしれない。多分本業はツバメで。

さっきのお札もきっと女から貰ったもので。

こじつけたにしてはとても筋が通っていて、胸の突っかかりが取れた。あたしはそれからすぐに眠り、琉生が出る頃に起き上がることが出来た。

玄関で靴を履くのを見ていると、驚いたようにこちら向く。

「起こしちゃった? ごめん」
「ううん、違う」

あたしは財布からお札を抜いて渡す。

「え、何?」
「いつも来てもらってるし、ご飯作ってくれてるから」
「そんなの要らない」
「貰ってほしいの」

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