王女にツバメ
転んだら起き上がれない

休憩中にゲームをしている犬飼が、戻ったあたしを見上げた。

珍しい、画面から目を外すなんて。

「何かありました?」
「何って?」
「例の彼、本物だったとか」

それはここまで来たら夢オチの方がもう良いかも、なレベルまで来ている。

琉生はあれ以降も度々うちを訪ねてきた。

「……どうだろうね」

その素性がまさかのツバメだったとか。
そのツバメと会っているとか。

「裏葉さんってなんで元カレと別れたんですか?」
「え? あー……結婚できないなら別れようって」

デスクの引き出しを開けて、チョコレートを出す。

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