王女にツバメ

ツバメをやっていると思っていたと言われ、首を取れそうなほど振って否定した。
もしかして、だから帰るときに金を渡されていたのか。

「終電なくしたってたまに。あ、この前昼に歩いてたの妹だよ」
「……本当?」
「裏葉さんの話もしてる。今から呼ぶ?」

携帯を出してひかりの名前を探すと、裏葉さんはそれを制止した。

「もうすぐ大学卒業?」

裏葉さんは焼き魚の骨を取りながら尋ねる。考えてみれば、今までで一番身のある会話のような気がする。

「ん。卒論も終わったし」
「偉いね」
「褒められたー。あ、春から都の公務員だよ」
「え、安定ってそういう意味?」

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