王女にツバメ

「いちご狩りやってる?」
「まあ、うん。今ちょうどやってるんじゃないかな」
「今度行きたい。月末にでも」
「良いけ……いや良くない、何しれっと実家来ようとしてるの」
「俺も根回ししないと。客のフリしつつ裏葉家に取り入る」

そこまで言うと、裏葉さんがくすくす笑った。

可愛い。笑っていると更に。

今日は泣かせちゃったけど、これからはもっと笑っていて欲しいと思う。

「幸福な王子知ってる?」
「ん、知ってるよ。最後、神様のとこにいって終わるやつ」
「神様?」
「ツバメが死んで、王子も壊された後、神様が天使たちに『尊いものをふたつ持ってきて』と言った」

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