罪作りな彼は求愛方法を間違えている

その為、毎朝、数本のステックパンとインスタントコーヒーを飲んでおしまい。

掃除や洗濯はこまめにできるのに、料理だけは苦手なのだ。

マグカップを洗い終えてから、そらくん用のご飯を餌皿に盛って、部屋の中を指差し確認。

ヨシ、ヨシ、ヨシ…と1つ1つ見渡し、最後にそらくんを見た。

1人ぼっちにさせてしまう心細さに会社を休んでしまおうかと心が揺れたが、自分がいなければ安心して過ごせるかもしれないと考えを改め、そらくんに聞こえる声で『お留守番お願いね。行ってきます』と声をかけ玄関に。

通勤用のパンプスを履いている背後でミィーと鳴く声に振り向くと、そらくんがケースから出てこちらを見ていた。

寂しくて出てきたのか、それとも見送ってくれる為に出てきたのか?そのまま足元まで来て足に擦り寄りながら回り、部屋の奥へ戻って行く姿に、少しは、打ち解けてくれたのだろうかと頬が緩んで時間を忘れた私は、危うく電車に乗り遅れるところだった。

私の勤めるKASIWAの倉庫には、何千種類という商品が常備されており、日本全国からインターネットでの注文を受けて、梱包から配送まで請け負う中部地方の中小企業に事務員として働いている。
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