罪作りな彼は求愛方法を間違えている

私は否だ。

もうとっくに堕ちている。

だけど、彼のセフレ女になりたいわけじゃない。

高橋 斗真という男のただ1人の女であり、最後の女になりたいと思うのは欲張りだろうか?

せめて、好きだと言ってくれたら、この胸に飛び込めるのに…と、彼の目をジッと見つめ、好きだと言ってと願う。

私の気持ちに気がつかない彼は、誘惑の手を緩めない。

唇をなぞっていた指が髪をかきあげて耳にかけると、そのまま耳朶をなぞり、一直線に降りてきて胸の先端をかすめていくと、ピクッとする反応に気を良くした男はそのまま膝丈のスカートの裾まで手が伸ばし太腿を直接なぞりながらゆっくりとスカートを巻き上げていくので、その手を押さえつけた。

首を左右に振り、これ以上はダメだと訴える。

「ちかがほしい」

押さえつけていた手は、彼の反対の手によって取り払われ指を絡めて繋がれると、見せかけだけの抵抗も何処かへ。

このまま堕ちてもいいかも…と思った時

「あっこら…また邪魔しやがって…」

突然現れ私の膝から退こうとしないそらくんの登場で甘い雰囲気は飛び、ぺろぺろと私の顔を舐め甘えてきたそらくんにデレだす私と正反対の彼は苦々しい表情でそらくんを睨みつけて温くなっているだろうビールを飲みだした。
< 67 / 119 >

この作品をシェア

pagetop