罪作りな彼は求愛方法を間違えている

「な、何不埒な事言ってるのよ。連れ込まないし、例えそうなっても撃退してやるわよ。それに、紳士な人は勝手にキスなんてしてきません」

いい加減服を着ているだろうと反撃する為に振り返ったら高橋さんは上半身裸のままでいて目のやり場に困り、視線を彷徨わせてしまう。

「そう言う反応、男を煽るんだよ」

クイっと手を引っ張られると勢いで前に進み、ビールで濡れていた床に足を取られ、踏ん張る事もできずそのまま彼の胸に倒れた私の体を、ヨイショと横抱きで抱えられ彼の膝の間に落ち着いた。

「ちょっと…なにするの?紳士じゃなかったの?」

「暴れるな」

触れる男の肌にドギマギしていると、顎をすくい上げられて唇をあっという間に塞がれていた。

ねっとりと唇を食まれた後、離れる際にチュッとリップ音を大きく鳴らし羞恥心を煽る彼のせいで、顔は真っ赤に違いない。

だって、顔中熱くてたまらない。

「紳士になれなくて悪いな」

ニヤリと弧を描いて笑った彼は、私の濡れている唇を指でなぞり甘い声で惑わしてきた。

「ちか…俺はお前とキスの先までいきたくてたまらない。後悔させないから、俺に堕ちろよ」

好きな男にこう言われて堕ちない女なんているのだろうか?
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